
SNS上にさまざまな情報が氾濫する中、困りごとを抱えた人、特に若年層において、必要な相談・支援につながりにくいことが大きな課題となっています。
本シンポジウムではインターネットの利用と相談へのつながりにくさに関する最新の調査結果を報告します。また、デジタル空間を前提としたこれからの支援のあり方をめぐって、研究者・実践者による議論と提言を行います。
【実施概要】
日 程 : 2025年9月6日(土)14:00~17:00
参加方法: 会場(定員200名)+ オンライン(Zoom)同時配信あり
会 場 : 神田スクエア ROOM(定員200名)
東京都千代田区神田錦町2丁目2-1 https://goo.gl/maps/fk3kULFnW2utbaYo7
地下鉄各線:小川町・淡路町・新御茶ノ水・神保町・竹橋から徒歩3~6分
JR各線:御茶ノ水・神田から徒歩9分~10分
参 加 費: 無料 *要事前申込
対 象 者: 対人援助に関わる支援者、NPO法人・市民活動団体の方、教育・研究機関の方、官公庁・自治体関係者、マスコミ・情報機関の方、本テーマに関心のある一般の方
【申込フォーム】以下のフォームよりお申込みください
https://business.form-mailer.jp/fms/169249e5297628
【 当日の内容 】
1.基調講演『デジタル空間とどう向き合うか~情報的健康の実現をめざして~』
SNSなどのデジタル空間にあふれる情報が、若年層の認知や行動にどのような影響を及ぼしているのか―基調講演では、「情報の偏食」という視点からその実態をひも解きます。フィルターバブルやエコーチェンバーなど構造的課題にも着目しながら、健やかに情報と向き合える「情報的健康」な状態へと至るための道筋を、最新の研究成果を踏まえて、初心者にもわかりやすく解説いただきます。
まず、デジタル空間で何が起きているのかを皆さんと共有します。
鳥海 不二夫氏 東京大学大学院工学系研究科教授

2004年東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム工学専攻博士課程修了(博士(工学))。同年名古屋大学情報科学研究科助手、2007年同助教,2012年東京大学大学院工学系研究科准教授、2021年同教授。計算社会科学、人工知能技術の社会応用などの研究に従事。計算社会科学会副会長、情報法制研究所、人工知能学会、日本社会情報学会各理事、電子情報通信学会、情報処理学会、AAAI各会員。「科学技術への顕著な貢献2018(ナイスステップな研究者)。
主な著書に「強いAI・弱いAI 研究者に聞く人工知能の実像」「計算社会科学入門」「デジタル空間とどう向き合うか 情報的健康の実現をめざして」。
東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻のホームページ
https://www.sys.t.u-tokyo.ac.jp/memberpage/%E9%B3%A5%E6%B5%B7%E4%B8%8D%E4%BA%8C%E5%A4%AB/
2.トークセッション①『若年女性における困難と支援のあり方』
調査結果から、SNSやインターネットからの情報は若年女性に大きな影響を与えていることが分かりました。特に、若年女性だけが「相談をした体験」が「相談へのハードルを下げない」ことが明らかになりました。これは、相談機関が若年女性を「失望」させている可能性を示唆しているのかもしれません。また、社会の背景として少女たちを性の対象として消費する文化もあり、若年女性の行動や考え方に対する偏見もあります。
このような状況も踏まえて、若年女性に対する効果的な支援の在り方について意見を交わします。
戒能 民江氏 お茶の水女子大学名誉教授

専門はジェンダー法学、ジェンダーに基づく女性に対する暴力研究内閣府「配偶者暴力防止法見直し検討ワーキンググループ」委員、厚生労働省「困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議座長等を歴任。
関連主著 戒能民江(共著)『婦人保護事業から女性支援法へ-困難に直面する女性を支える』(信山社、2020年)
山本 千晶氏 フェリス女子学院大学グローバル教養学部准教授

ジェンダーの視点から法律や裁判事例を考察。とくに、「性差」に起因する経験の差異に着目しながら、セクシュアル・ハラスメントやDV、あるいはリプロダクティブ・ヘルス&ライツに関わる法と政策を中心に研究。
フェリス女学院大学グローバル教養学部のホームページ
https://www.ferris.ac.jp/academics/teachers/international-exchange25.html
3.トークセッション②『提言~若者と相談の現場をつなぐために』
インタビュー調査より、困りごとを抱えた若者がその困りごとについてインターネットネットで検索しても「相談窓口や支援者の情報にたどり着かない」ことがインタビュー調査から明らかになりました。「若者の検索ワードでは、相談機関にたどり着かない」という思いもよらなかった問題があったためです。加えて「支援機関のホームページが更新されていないと信用できない」といった声もありました。一方で、実際の支援につながるときは、SNSではなくて「生身の人間」が背中を押してくれているという事例も多くみられました。 そこで、トークセッションでは、若者世代の当事者でもありデジタル空間で相談支援に取り組む奥村氏と、リアルな対人支援の領域で長年議論をリードしてこられた宮本氏のお二人にお話を伺いながら、デジタルからリアルへの支援のつなぎ方について考えます。
奥村 春香氏 NPO法人第3の家族 理事長

弟の自死をきっかけに活動を始める。LINE株式会社Product Designerを経て、学生時代から続けていた第3の家族を2023年にNPO法人化。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023。グッドデザイン・ニューホープ賞最優秀賞、横浜市男女共同参画貢献表彰など。
NPO法人第3の家族 ホームページ
https://daisan-kazoku.com
宮本 太郎氏 中央大学法学部教授

中央大学法学部教授。北海道大学名誉教授。ストックホルム大学客員研究員、北海道大学法学部教授などを経て、2013年より現職。専門は政治学、福祉政策論。
安心社会実現会議委員、内閣府参与、総務省顧問、社会保障改革に関する有識者検討会座長、男女共同参画会議議員、社会保障審議会委員、社会保障制度改革国民会議委員など歴任。現在、地域共生社会の在り方検討会議座長、『月刊福祉』編集委員長などをつとめる。
主な著書に『子どもが消えゆく国の転換』(勁草書房, 2025年)、『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(朝日選書、2021年)、『共生保障〈支え合い〉の戦略』(岩波新書、2017年)他。
中央大学 研究者情報データベース
https://c-research.chuo-u.ac.jp/html/100002901_ja.html
聞き手:遠藤 智子 一般社団法人社会的包摂サポートセンター事務局
【調査に関するご紹介】
「情報偏食」と若年層の相談支援へのつながりにくさに関する調査
インターネットやSNSによる情報が飛び交う中、若者が日々どのような情報に触れているのか。また、困りごとを抱えた際に誰に相談しているのか、あるいは、相談しない理由は何か。
2025年3月~5月にかけて、4,000件を超えるアンケート調査と23名への詳細な個別インタビュー調査を行い、相談支援と若者とをつなぐ鍵を模索しました。
調査結果はデータ集や報告書としてまとめ、シンポジウム終了後に当法人ウェブサイトで公開します。
※主な調査項目の例
・相談機関の認知度や相談経験の有無
・回答者のインターネット・SNS等の利用状況
・回答者の価値観や、周囲の人・社会への信頼度 等
シンポジウムでは、調査結果の発表とともに、今後の相談支援のあり方について議論していきます。
【運営・協力】 認定NPO法人 サービスグラント
社会的包摂サポートセンターの委託により、アンケート調査に関する各種調整、プロボノ経験者の協力を得たインタビュー調査の実施、シンポジウム開催に向けた準備等、本調査事業の運営全般において事務局機能を担っています。
【個人情報の取り扱いについて】
お申し込み時にご提供いただいた個人情報は、本シンポジウム主催団体である一般社団法人社会的包摂サポートセンター、および事務局を担当する認定NPO法人サービスグラントが厳重に管理いたします。これらの情報は、シンポジウムに関するご案内の目的のみに使用し、終了後、責任をもって削除いたします。

